Bilal(ビラル)「I Really Don't Care(構ぁぬよ)」日本語訳・解説

今日も今日とて自分の好きな歌の詞を訳すかなぁー!

以前にもブログで紹介したBilalのI Really Don't Care、これにしよう。


Bilal - I Really Don't Care

題はまぁ「僕はほんとに気にしない」「自分はマジでそゆこと気にならん」「構ぁぬよ」とかそんなところ。

歌手は「びらる」「僕ビラル」「びらりつつある」「ニル・アドミラリィ。微」とまぁそんなところである。

まとめると、「びらる」という人の、「構ぁぬよ。」という曲を、これから訳す。

I really don’t care, I really don’t care
Really don’t care, I really don’t care

 

構ぁぬよ。構わぬ。
マジ構わぬ、オレはマジだいじょぶ

歌詞カードとかでよく見る光景なのだが、 原文は同じ言葉を連ねているだけなのに、なぜか訳文のほうではどんどん訳語が変形トランスフォーメーション煮崩れしていく。これなんで。「絶対の、黄金の、対応関係を見いだせなかったために、耐えられないのだ、訳語が、原文から吹くすさまじき審問の風に。耐えかねて異形へと逃げるのだ」

 

I know I’m not a typical guy, and your friends say I don’t have a chance
But I wonder if you pay them no mind, ‘cause it’s costing us time
Can you give me a chance to show you why
We should be forever again, forever again

 

自分で分かってる、オレは一種の変人さ。君の友達も皆言ってる、オレには到底見込みはないって
でもオレは思うんだ、もし君が、友達の言うことなんか気にしなければ――それがなければずっとすんなりいくはずなんだ――
君はチャンスをくれるだろうか、オレたちがもう一度永遠に、
もう一度永遠に結ばれるべき理由を、君に示すチャンスを

さっそく苦しい訳になった。滑りだしは快調だったが、まず"'cause it's costing us time"で詰まった。君が君の友人らの私は変人でありあんな奴はダメヨなどという吹聴に耳を貸すことは私たちの時間というなの原資にとっての出費だよ。この「私たち」という共犯関係は、今まだ片思いの状態から先取りされているので、その反実仮想感を頼りに意訳してしまったが、ほんとはもっと正統派に直訳かつ美しい訳し方がありそうな気がする。第一訳文が長すぎて原文の簡潔性と照応を欠くこと夥しい。そのあとも、まぁブナンな感じで落ち着いたが、本当は語の出現順に近く訳出したいところなのだ。つまり「もう一度永遠に、もう一度永遠に」で終わりたかったが、日本語的に、どう構文すればそう収まる?

 

Ooh lets drive around town, don’t really have a place to go
We could lay down by the sea and listen to the ocean’s symphony

 

うちゅちゅ、街をドライブしようよ、なに、行くとこなんかないけどさ
それか、海辺に寝転んで、聴いてようよ、海のシンフォニー

OohとかOhとかAhとかは、どう処理したもんかね。歌詞カードとかでは訳という業を放棄して、まんまOohとかOhとかAhとか書いてある。ここでは「うちゅちゅ」としたが、どうもしっくり来ない感じだ。

・・でまた、リフレイン、構ぁぬよ。俺は全然。エッ?何?いや、全然おもわなかった。気にするようなことなんそれ。OK、だいじょぶ、全然構ぁん庵。

 

I really don’t care, really really don’t care
I really really don’t care, I really don’t care

・・んでラスト・ヴァースへ。 

 

Haven’t kissed this long in quite some time
Have you ever felt the love like this?
I wonder if you’re changing your mind
It feels like ecstasy the second time
Loving you forever again, forever again
You’ll never be blue

 

ほんとにしばらく、こんな長いキスは、したことなかったな
君さ、感じたことある?こんなラヴ
やっぱ好きかも、なんて、君は思ってくれるだろうか
もしそうなら最高だ、ゆぴい!ふたたび
君を愛せるなんて、もう一度永遠に、もう一度永遠に
君を決して悲しませない

 なんかテキトーなしまりのない意訳になっちゃった。じゃない。した。オレが意思してそうしたのだ。まず、"I wonder if you're changing your mind"を、嫌悪ないし無関心から大便・牛肉・絵ハガキへの関心を経て「好き!大しゅき!」に至る心の変化と解し、「やっぱ好きかも、なんて、君は思ってくれるだろっか」と訳した。こんなことはしていいものだろうか。また、”ecstasy”の訳語に悩んで、うーん恍惚、法悦境、有頂天外、絶頂、なんかカタいんだよな、といって「イっちゃう」なんて言ってもなぁと思い、単に「最高」とした。でも「最高」だけだと味気ないので、スターウォーズ エピソードⅠで少年アナキン・スカイウォーカーが飛空艇レースで興奮し快哉を叫んだときの感嘆詞「ゆぴい!」を添加してしまった。そうゆうことしていいものだろうか。

というわけで、まとめると、次のような詞になる。

 

構ぁぬよ。構わぬ。
マジ構わぬ、オレはマジだいじょぶ
 
自分で分かってる、オレは一種の変人さ。君の友達も皆言ってる、オレには到底見込みはないって
でもオレは思うんだ、もし君が、友達の言うことなんか気にしなければ――それがなければずっとすんなりいくはずなんだ――
君はチャンスをくれるだろうか、オレたちがもう一度永遠に、
もう一度永遠に結ばれるべき理由を、君に示すチャンスを

 

うちゅちゅ、街をドライブしようよ、なに、行くとこなんかないけどさ
それか、海辺に寝転んで、聴いてようよ、海のシンフォニー
 
構ぁぬよ。構わぬ。
マジ構わぬ、オレはマジだいじょぶ
 
ほんとにしばらく、こんな長いキスは、したことなかったな
君さ、感じたことある?こんなラヴ
やっぱ好きかも、なんて、君は思ってくれるだろうか
もしそうなら最高だ、ゆぴい!ふたたび
君を愛せるなんて、もう一度永遠に、もう一度永遠に
君を決して悲しませない 
 

要するに、このうたは・・どういう歌なのか。何を歌っている。

去られた男が、未練たらたら、女をおもい、悪い友達がいさえしなけりゃ、また、一度でいいチャンスをくれさえすればと、おもっている。そゆとこから始まる。

で、ドライブしようよ、海でまったりしようよってのは、この呼びかけは、脳内の妄想だとおもう。オレとのデートは楽しいよ、ほら、オレにはイメージできるよあんな場面こんな場面と、脳内妄想デートをしている。・・と、はじめ思っていたのだが、

最後のヴァースで、なんかキスしてけつかるやん。長いキッスを。してみると、さっきの妄想デートは、妄想でなく、現実にふたりは車で出かけ、街を抜けて、海へ出て、んでそこで接吻したのだろうか。「こんなラヴ、感じたことある?」なんてゆってる。「気持ち、変わったっしょ?」つってる。俺のこと好きになったっしょって。んで「ゆぴい!もう一度かのじょの♡をゲットしたわい」再び永遠を手に入れたワイ、二度と君を哀しませないワン!

~~はっぴぃえんど(夏なんです)~~

しかし、俺はそうではないと思う。最後のヴァースは脳内妄想デートの延長だと思う。妄想はヒートアップし、ついにふたりは脳内キッス。てな感じで進行中の脳内デートを現在時制でレポートしているものと思う。

というのも、まず、PV(プロモーションビデオ)を見てご覧な、終始、一人身の、孤独なアーティストのつつましい、一般人から見るとさすがに少々エキセントリックでクリエイティヴだが、まぁ男として分かる分かるってなフシは多い、侘しい日常である。このように日々は過ぎていく、哀感、ポポイ。そらピアノも弾くわな。この男は決してその望む恍惚を、最高ゆぴいを、幸せを、手にしてはいない。そう思わせる。要するにテクスト外の現実(?)に引っ張られてそう思ってしまうよ。PVは曲の二次創作で二次創作からオリジナルを解釈するのは邪道だよ?なら次の論拠を。

男はけっきょく一人であるという私の主張の次なる論拠は、「構わぬ」という、曲のタイトルそしてリフレインである。この構わぬの意味は、けっきょく、孤独な庵から女に送るメッセージではないか、「いろいろあったけど、俺は気にしないよ」「周りの人はいろいろ言うけど、俺は気にしないよ」「もう一度会うなんて、君は気まずいかも知れないけど、俺は気にしないよ」「あのこと、わだかまりに感じているかもしれないけど、俺は全然気にしてないよ」だから会おうよ、という。子犬がくーんくーん鼻で鳴くように、繰り返される秋波、恋しの周波、「気にしないよ」「気にしないよ」繰り返される救難信号、キャッチしておくれよ。君を決して悲しませない。

 

以上でごいす。

 

最後にライヴヴァージョンを、どうぞ。

 


Bilal & Adrian Younge // I Really Don't Care // Brownswood Basement Session